民泊運営においてもっともレビューに影響を及ぼす項目のひとつは「清潔さ」です。高評価を維持するためには客室を常にホテル並みに整えておく必要があります。
そのため、清掃・リネン交換業務を誰が行うか、どこに依頼するかはオーナーとして重要な意思決定となります。
今回は民泊の清掃代行サービスについて詳しく解説していきます。本記事では清掃代行サービスの 費用・業務範囲・委託手順 を中心に、失敗しない代行会社の選び方について学ぶことができます。
民泊の清掃代行とは
民泊の清掃代行とは、ゲストがチェックアウトした後の部屋の清掃・リネン交換を民泊オーナーに代わって行うサービスのことを指します。
国土交通省の住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)では、「届出住宅の設備や備品等については清潔に保ち、ダニやカビ等が発生しないよう除湿を心がけ、定期的に清掃、換気等を行うこととする。」といった記載があります。
完全代行と部分代行
民泊運営の代行には「完全代行」と「部分代行」 があります。民泊運営で申請から管理まですべてを委託することを「完全代行」と呼び、清掃や緊急駆けつけなどの一部のみを委託することを「部分代行」と呼びます。
住宅宿泊管理業者への委託
民泊新法では、家主不在型の住宅宿泊事業を行う際に下記に該当する場合は、住宅宿泊管理業者へ管理を委託しなければなりません。
- 届出住宅の居室の数が、5を超える場合
- 届出住宅に人を宿泊させる間、不在となる場合
住宅宿泊管理業者とは、国土交通大臣の登録を受けて住宅宿泊管理業を行う者のことを指します。
住宅宿泊管理業者の業務
住宅宿泊管理業者の業務の1つに「宿泊者の衛生の確保」があり、清掃は住宅宿泊管理業者の業務範囲内になります。民泊ポータルサイト「minpaku」に記載されている住宅宿泊管理業者の「宿泊者の衛生の確保」業務の一部を抜粋します。
届出住宅の設備や備品等については清潔に保ち、ダニやカビ等が発生しないよう除湿を心がけ、定期的に清掃、換気等を行う必要があります。
寝具のシーツ、カバー等直接人に接触するものについては、宿泊者が入れ替わるごとに洗濯したものと取り替える必要があります。
清掃代行業者の主な業務
清掃代行業者の基本的な業務内容は下記になります。業務完了後は規定の報告フォーマット(電話やLINE、写真・動画添付など)に合わせて報告を行ってくれます。
- 部屋・廊下の清掃
- 台所・風呂・トイレの清掃(水回りの清掃)
- リネン交換・ベッドメイク
- 消耗品交換・備品チェック
- ゴミ捨て
- 忘れ物対応
部屋・廊下の清掃
掃除機・雑巾・ウエットシート・コロコロなどでゴミクズや汚れを入念に取り除きます。
台所・風呂・トイレの清掃(水回りの清掃)
水回りはゲストがもっとも気になる部分になるので、専用の清掃道具を用いて入念に清掃を行います。洗剤・シャンプー/リンス・トイレットペーパーなどの消耗品の残量をチェックして必要に応じて補充も行います。
リネン交換・ベッドメイク
寝具のシーツ、まくらカバーは清潔に洗濯された新しいものに交換し、シワがないようにセッティングします。クッションや枕の配置なども指定の通りに整理します。
- チェックアウト確認:鍵の回収・忘れ物点検
- リネン交換:ベッドメイクと使用済みリネンの分別回収
- 客室・水回り清掃:床・浴室・トイレ・キッチン・窓
- 消耗品補充:シャンプー、トイレットペーパー、ゴミ袋など
- 報告:清掃完了写真と異常・破損報告をチャットで送付
消耗品交換・備品チェック
洗剤・シャンプー/リンス・ボディーソープ・トイレットペーパーなどの消耗品は残量に応じて適宜補充を行います。また、生活家電などの動作チェックを行い故障がないかもチェックします。
ゴミ捨て
ゲストが出したゴミは、マンション等に設置されているゴミ置き場へ捨てて家庭ごみとして処理してはいけません。「事業系ごみ」となり、事業者に排出責任があります。
ゲストが出したゴミを処理するのも清掃代行業者の業務になります。
清掃代行を利用するメリット
民泊運営は24時間の対人サービスとなるため、小規模事業者で運営をすべて自前で行うのには限界があります。特に清掃部分はゲストもセンシティブになるので、プロの業者に委託することをおすすめします。
顧客満足度の向上
冒頭でも述べたように施設の「清潔さ」はOTA(オンライン旅行代理店)やGoogleマップの口コミ評価に直結する部分です。立地や設備が満足のいくものでも清潔さですべてを台無しにする可能性もあります。
清掃部分をプロに委託することで「清潔さ」を担保できます。
人材の確保と安定稼働
清掃業務を自分で雇用した従業員に行ってもらう方法もあります。しかし、民泊の営業日数は年間180日と決められており、清掃業務は多くても月に15回となります。さらに1回1,2時間の業務となるため、働き手としては給与予測が立てづらく適当な人材を見つけるのは難しいでしょう。基本1人での業務になるため欠員を出すこともできません。
清掃が入っていない状態では次のゲストを宿泊させることができないため、清掃人員が確保できていないと安定稼働ができません。清掃代行してもらうことで民泊の稼働率・売上の安定化に繋がります。
時間と心の余裕
民泊事業はサービス業となるため、日々いろんなお客様と接しなければいけません。時にはクレーム対応なども発生するでしょう。
それらの対応をオーナー自身で行うのは拘束時間や精神安定の面でおすすめできません。
民泊運営を投資と考えて、代行業者へ完全代行し、オーナーは収支のみを管理する方が有意義でしょう。
民泊清掃代行の費用相場
民泊清掃代行の費用相場は部屋の広さやリネン有無によって異なります。下記を参考にしてください。
広さ | リネンなし 相場 |
リネンあり 相場 |
---|---|---|
35㎡以下 | 4,000~7,000円 | 5,000~8,000円 |
45㎡以下 | 5,000~8,000円 | 6,000~9,000円 |
55㎡以下 | 6,000~9,000円 | 7,000~10,000円 |
民泊清掃代行を安く抑える方法
清掃を安く抑えて収益性を上げたいと思う方は、ジモティーやくらしのマーケットなどで清掃員を探す方法もあります。またタイミーなどのスキマバイトサービスへの掲載もひとつです。
上記のサービスでは民泊の清掃を専門に行っている個人ワーカーも多く、良い人材を発掘できれば業者へ依頼するよりも割安で済む可能性が高いでしょう。
しかし、クオリティは人それぞれであり、個人との契約となるため連絡がつかなくなるなどのリスクも抱えなければいけません。
もし何かしらの問題が起きれば売り上げへ影響を及ぼし、収益性を下げる可能性もあります。